サンゴ礁の解説
概要

サンゴ養殖体験学習の講話では、サンゴとサンゴ礁についての知識を深める為、サンゴ研究分野の専門家に講話をお願い致しました。現時点でのサンゴに関する最新の研究結果や地域で発生している諸問題、それに対する考え方など、分かりやすく説明してもらいました。

講話1

サンゴってどんないきもの?

  • サンゴ(造礁サンゴ)は光が大好き。(藻が一緒に生活しているよ)
  • 石じゃないよ。(小さなイソギンチャクのようなポリプが集まって出来ているよ。)

サンゴは何種類いる?

(世界で約800種類、八重山では約400種類、沖縄本島では約300種類、四国では150種類)

代表的なサンゴ

  • 代表的なサンゴ@ミドリイシ
    (サンゴ礁の中で一番多いサンゴで150種類いるよ。特徴としてはオスメスの違いがなくて、成長がとても速いサンゴだよ。サンゴの先に大きなポリプがあって成長を早くしているよ。)
ミドリイシ   ミドリイシ   ミドリイシ
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  • 代表的なサンゴAキクメイシ
    (キクメイシもよく見るサンゴで100種類あって、ミドリイシと同じようにオスメスの違いはないけど、成長はとても遅いサンゴだよ。)
キクメイシ   キクメイシ
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  • 代表的なサンゴBハマサンゴ
    (浜辺近くで多く見る石のようなサンゴで80種類あるよ。このサンゴの特徴はオスとメスがあって、成長が一番遅い種類のサンゴだよ。)
ハマサンゴ   ハマサンゴ
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どんな場所にすんでるの?

  • 例1:浜辺近くの水が少しにごった所
    (石のようなハマサンゴがたくさんいるよ。)
  • 例2:沖のしおが引くと干上がってしまう所
    (キクメイシが多く見られるよ。)
  • 例3:いつも波があたる所で浅い所
    (テーブル状のミドリイシがいるよ。)
  • 例4:いつも波があたる所で少しづつ深くなっている所
    (枝状のミドリイシがいるよ。)
  • 例5:深い池のような所
    (キャベツのようなサンゴや太い枝状のミドリイシがいるよ。)

サンゴの一生

  • 産卵(八重山では5月の満月にミドリイシが一斉に産卵します。)
  • 着生(サンゴの幼生は1週間程、海を漂い海の底の岩や石などに付きます。)
  • 分裂(着生して1カ月程するとポリプが分裂して増えていきます。)
  • 群体形成(何年かするとテーブル状や枝状の形となります。)

サンゴの大事なパートナー

サンゴには共生藻または褐虫藻と呼ばれるパートナーがいます。
共生藻は、サンゴの体の中にいる藻類で、光合成をしてサンゴにエネルギー(栄養)を与えてくれます。

  • 共生藻はいつサンゴの体に入るのか?
    ミドリイシの仲間では、サンゴが産卵して幼生として海を漂っている頃に入り、海の底に着生して1カ月後には褐色に見える程度に増えていきます。
  • 共生藻の力
    共生藻がいるサンゴと共生藻がいないサンゴを比べると、共生藻がいるサンゴでは7か月でポリプ数が3倍に増えます。
    共生藻はサンゴの成長を早くし、いなくなるとサンゴは白化してしまいます。
  • 共生藻にもいろんな種類がある
    Aタイプの共生藻(水中でもどんどん増える。シャコガイが好き。)
    Cタイプの共生藻(サンゴの中が大好き。快適な条件ならすごく働き者。)
    Dタイプの共生藻(普段はあまり存在感ない。きびしい環境でがんばる。)
  • 白化のしくみ
    サンゴに強い太陽の光(紫外線)が当たるか、水温が30度以上に上昇すると、共生藻はサンゴの体の外に出ていってしまいます。そのしくみは複雑でいろんな種類の共生藻がいろんな動きをしています。例えば、高水温になると、まずはサンゴの体が大好きなAタイプの共生藻が先に出ていって、きびしい環境でもがんばるDタイプの共生藻が残り、しばらく耐えるというしくみです。

サンゴの寿命

サンゴにも寿命があります。
サンゴの中で一番長生きする種類とされているのがハマサンゴの仲間で、八重山では白保にある直径5m位のハマサンゴが、500〜1000年位生きているとされています。
現在発見されているもので、日本最古のサンゴとされているものが、徳島県にある「千年サンゴ」です。これもハマサンゴの仲間で直径10m、高さ10mの大きさがあり、1700年位生きていると言われています。 一方、成長の早いミドリイシなどは、わずか10〜20年位で直径2m位にまで成長します。こうした成長の早いサンゴは台風や高波などの自然災害や、オニヒトデなどの食害に弱く、絶えず生まれ変わっています。このようにサンゴの寿命はその種類によっても違いがあります。

サンゴが死んでしまう理由

サンゴが死滅する要因はたくさんありますが、代表的でわかりやすいのはサンゴ礁の環境変化です。サンゴ礁の環境(海)は、とても栄養の少ない環境(海)です。ところが近年のサンゴ礁は栄養が増加してきています。ここで言う栄養というのは、生活排水などで、陸から海に流れ出る水に多く含まれるものです。
人の生活はたくさんの栄養を使いますが、サンゴの生活では太陽の光が大事で、栄養が多すぎるとサンゴ(礁)が不健康になります。

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講話2
  • 平成22年11月17日
  • 講話テーマ「サンゴ礁と私たちのくらし」
  • 講師:日本サンゴ礁学会サンゴ保全委員長 鹿熊信一郎

サンゴとサンゴ礁

サンゴは植物ではなくて動物です。
刺胞動物の一種でイソギンチャクやクラゲの仲間です。
更にサンゴ礁の中でサンゴと呼ばれているもののほとんどは、六放サンゴのイシサンゴで、造礁サンゴとも呼ばれています。
造礁サンゴは、やわらかいポリプと硬い骨格で出来ていて、枝状やテーブル状など様々な形を作ります。

  

サンゴ礁は3つの種類に分類出来ます。

  • 裾礁(きょしょう)・・・サンゴ礁が島のすぐそばにあるタイプ
  • 堡礁(ほしょう)・・・少し島が沈んでサンゴ礁との間に深い海があるタイプ
  • 環礁(かんしょう)・・・島が沈んでサンゴ礁だけが残ったタイプ
  

沖縄のサンゴ礁はほとんどが裾礁(きょしょう)です。

サンゴの一番の特徴は、サンゴの体の中に褐虫藻と呼ばれる植物が共生している事です。
褐虫藻の大きさは100分の1ミリ程度で、この褐虫藻が太陽の光を受けて光合成を行い、サンゴが成長する為の栄養を作り出します。サンゴ礁の海が透明であるのは、サンゴにとって太陽の光がとても大切だからです。

サンゴ礁のかく乱要因

現在、サンゴは急速に減ってきています。
八重山でも2003年からの5年間で約7割のサンゴが死滅したとする調査結果があります。
サンゴ礁のかく乱要因(ダメになっている原因)は、様々にあります。
沖縄では主に「赤土」「白化」「オニヒトデ」が一番の要因となっていますが、世界的には「漁業」が一番の要因として挙げられています。それは、ダイナマイト漁(爆薬を使用した漁業)や青酸カリ漁(薬物を使用した漁業)を行っているサンゴ礁地域があるからです。

サンゴ礁のかく乱要因−「白化」

サンゴ礁のかく乱要因−「白化」   サンゴ礁のかく乱要因−「白化」   サンゴ礁のかく乱要因−「白化」
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白化は、水温が高くなり過ぎるとサンゴに共生している褐虫藻が出て行ってしまう事で起こります。これは近年の地球温暖化が影響しています。
白化は水温が30度を超えると始まります。
1998年には世界的にも高水温となり各地で白化が起こりましたが、この年の八重山の海は8月からずっと水温は30度を超えていました。その他2001年にも白化が起こっていますが、こうした高水温の原因の一つとして台風の接近が無かった事が指摘されています。
台風は高くなり過ぎた水温を低下させる役割を持っています。
※白化にはサンゴのレジリアンス(抵抗力)を強める。元気なサンゴを育てる事が重要。

  

サンゴ礁のかく乱要因−「オニヒトデ」

サンゴ礁のかく乱要因−「オニヒトデ」   サンゴ礁のかく乱要因−「オニヒトデ」
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オニヒトデは、現在八重山で大発生しています。
どれくらい大量にいるのかというと、「海を15分間泳いで発見出来る数」が2006年までは、1匹以下、2007年には2匹、2008年には7.2匹、2010年には10匹となっています。ちなみに大発生は3匹以上からとなっています。
※オニヒトデの発生を予測するには、稚ヒトデを発見しモニターしていく事が重要である。

  

サンゴ礁のかく乱要因−「赤土」

赤土が海に流れ出すと、サンゴへのストレスや死滅、更にサンゴの幼生が着床出来ないなど、様々に悪影響を及ぼします。重要な事は赤土を陸地から海へ流さないという事で、生活排水などを流さないという事と一緒に考えなければならない問題です。

サンゴの養殖と移植

サンゴの養殖・移植には無性生殖法と有性生殖法という2つのやり方があります。
無性生殖法は、サンゴの断片を切り取り増やしていく方法です。
有性生殖法は、サンゴの卵や幼生を活用して増やしていく方法です。
沖縄では両方の方法が様々に工夫されて実施されています。

里海と海洋保護区

海洋保護区は、資源管理などの目的で設定される海の保護区域です。
保護対象や期間などを決めて運用されます。
里海は、人の手を掛ける事によって漁獲などの生産性と生物多様性を同時に高める沿岸活用方法の事で、サンゴ礁内(礁池)を豊かにしていく取り組みです。

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